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「ケガの場所が変わった。」厚底カーボン入りシューズの故障リスクについて考える。

2022年1月7日読売新聞オンラインにランナーとして見逃せない記事が出ました。
それは、

厚底シューズの故障リスク…接地時間減って衝撃大、箱根駅伝制した青山学院大・原監督「ケガの場所変わった」

という記事です。

最近、私もマラソンを走る時は厚底カーボン入りシューズを履いています。
以前より楽に走ることができるようになり、その恩恵に預かっていますが、レース後の疲れるカラダの場所が変わってきているように感じるのです。

そのため厚底カーボン入りシューズを履くためにやっていることを記事にしています。

 

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NIKE社が「厚底カーボン入りシューズ」を登場させてから約5年が経過して、いろいろなことがわかってきています。
その恩恵だけでなく「リスク」というものもわかってきているのです。

 

そこで今回は厚底カーボン入りシューズの故障リスクについて考えてみたいと思います。

 

 

選手400人調査 股関節周りけが「2倍超」(読売新聞オンラインより)

まず記事を見ていきます。

今年の箱根駅伝を制した青学大の原晋監督は、「今までは 下腿かたい 部のケガが多かったが、最近は厚底の影響で、でん部回りの故障が増えている」と話す。今回の箱根出場校の中でも、大腿骨や股関節周辺のケガに苦しむ選手が多く見られた。早大スポーツ科学学術院の鳥居 俊すぐる 教授(スポーツ医学)がシューズによる接地時間の差を調べたところ、薄底より厚底の方が約3%短かった。さらに選手約400人を対象に行ったアンケートでは、厚底を履いた期間に股関節付近をケガした選手の割合が、厚底を履いていなかった期間と比べて2倍超となった。鳥居教授は「3%は有意な差で、接地時間が短くなると1度ごとの衝撃は大きくなる。スピードが上がれば接地時間はもっと短くなる」と語る。
また、あるレース後に厚底を履いた選手たちをMRI(磁気共鳴画像)検査したところ、股関節周囲に炎症を起こしている選手が多かったという。鳥居教授は「厚底はレース後半になっても脚が止まらず走れる傾向があるが、筋肉が疲労して支えが弱くなると骨がぐらつき、大腿骨と骨盤が衝突を起こす。骨盤のズレも誘発し、仙骨などの骨折も生じているのでは」と分析する。

読売新聞オンライン2022年1月7日

故障の原因は2つ。

「接地時間が短くなること」
「筋疲労で支えが弱くなり骨盤のズレ等を誘発していること」

以前に「短距離と長距離の筋肉の使い方」について書いていますが、この2つの故障の原因は「短距離・中距離の走り方」で「長距離」を走っているからと個人的には考えています。

実際に短距離で使う筋肉は短時間で最大出力を出せる太ももやお尻など大きな筋肉群です。
長距離は「できるだけ力を使わずリズムで反復運動をする」のが基本ですが、厚底カーボン入りシューズの性能のおかげで、スピードを最大出力で長時間出し続けることが可能になっています。

1分かからない短距離でも、骨盤周りを故障する選手は多くいます。
最大出力でスピードを出し続ける短距離で使う筋肉を30分、1時間、2時間使い続けるのです。
無理をすれば故障するのは当然といえば当然かもしれません。

さらに青山学院大学の原監督は「今までは 下腿(かたい)部のケガが多かったが、最近は厚底の影響で、でん部回りの故障が増えている」と話したと記事に書かれています。

これも薄底シューズ時代は「自分で地面を蹴って推進力を出す必要があった」ため、ある程度地面を蹴る必要がありました。
走る時に地面を蹴る動作をする際、下腿部の筋肉を使うため「ふくらはぎ」の筋肉を故障するランナーが多かったと思います。
さらに出せるスピードは筋力に比例するため自分の能力以上のスピードは出せません。
その結果、骨盤周りの大きな筋肉群には大きな負担は実力以上負担はかからなかったはずです

しかし、厚底カーボン入りシューズはその蹴る動作をシューズがやってくれます。
実力以上にスピードが出せるわけです。
そうなれば「蹴るため筋肉」より「スピードを出すための筋肉」、そして「脚を動かす関節」に負担がかかり故障につながるということなのでしょう。

 

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故障を防ぐためにはどうするか。

故障を防ぐには「柔軟性の向上」と「筋力強化」が必要です。
それでも故障のリスクが下がらないのであれば「厚底カーボン入りシューズを使いすぎない」という選択肢がうまれるでしょう。

まず柔軟性の向上ですが、骨盤の動きを良くすることが一番重要でしょう。
そのためにも走る前の動的ストレッチは現代において、より重要性が増しています。

以下の記事にあるような動的ストレッチがオススメです。

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2つ目の記事は足首の故障対策ですが、股関節周りの動的ストレッチも入っています。
しっかり股関節を動かし徐々に稼働域を広げていきましょう。

そして筋力に関してはまず「ハムストリングス」をはじめとする筋トレがオススメです。

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ゴールまでカラダの軸をぶらすことなくフォームを安定して走るためには、腹筋等体幹を鍛えるとより厚底カーボン入りシューズを使いこなすことができるでしょう。

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最後に「厚底カーボン入りシューズを使いすぎない」という点に関しては薄底シューズと履き分けながら練習したり、慣れるまでは厚底カーボン入りシューズで長い距離を走らないようにするなど練習にも工夫が必要だと思います。

最後に

今回紹介した2022年1月7日読売新聞オンラインの記事には若年層への影響についても書かれていました。

また、若年層への影響について、鳥居教授は「成長軟骨が残っている状態では骨の発育に影響する可能性もある」と指摘。昨年12月の全国高校駅伝の男子で2連覇を果たした世羅(広島)の新宅昭二監督も、「厚底はタイムが出てすごいと思っていたが、最近はケガの危険性も感じている。練習でも頻繁には履かせないようにしている」と明かす。

読売新聞オンライン2022年1月7日

私は小学生のロードレース大会の手伝いをしたことがありますが、上位選手にはNIKE社の厚底カーボン入りシューズを履いた選手がいました。
確かにスピードは出せますが、使い方を間違えると引用した記事にあるように骨の発育に影響するでしょう。

勝利するのも必要ですが、丈夫なカラダがあってのスポーツです。
レースで自分を助けてくれる「武器」とうまく付き合っていきたいものです。

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