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「火事場の馬鹿力」は本当に出せるのか?

レースなどで自分の想像以上の力を出せる時があります。
自己ベストを大幅更新できた時などがそれに当たります。

また、ピンチになった時も自分の想像以上の力を出せて、それを乗り切ることがあります。

それは「火事場の馬鹿力」と言われています。

《火事のときに、自分にはあると思えない大きな力を出して重い物を持ち出したりすることから》切迫した状況に置かれると、普段には想像できないような力を無意識に出すことのたとえ。
参照:goo辞書

この「火事場の馬鹿力」ですが、意識して出せるようになれれば常に100%の能力を発揮できることになります。

しかし本当にそれは可能なのでしょうか?
今回は「火事場の馬鹿力」の出し方について考えてにみます。

出力の「生理的限界」と「心理的限界」

筋肉自体の持つ能力を「生理的限界」と言います。
実際に筋肉が発揮できる能力を「心理的限界」と言います。

筋肉が動くための命令は脳が神経を通じて出しています。
そのため、神経により動きを制御されることもあります。

また動くための筋肉が大きければ大きいほど、自身が持つ最大の力を出すことができます。

しかし自分自身の力で筋繊維や腱、骨などを痛めてしまったり、カラダが極度の疲労をしないようにするため制御がかかります。
リミッター・抑制がかかり、最大出力をしないようになっているのです。

そのため心理的限界は生理的限界よりリミッターがかかっているだけ劣ってしまうのです。

心理的限界を引き上げる方法

特に運動習慣がない人の心理的限界は60~70%程度と言われています(参照:使える筋肉使えない筋肉)。
そのため、運動中は自分の持っている生理的限界の60~70%しか使えていないことになります。

もし、これが限りなく100%に近い力を出せるようになれば、普段より実力を発揮できるのです。

そのリミッターを外し、限りなく100%に近い力を出すため方法とはどんなものなのでしょうか。

それは「神経の興奮性を目一杯高める」という方法です。

例えば、先程「火事場の馬鹿力」の意味の説明で

「火事のときに、自分にはあると思えない大きな力を出して重い物を持ち出したりすること」

と書きました。

火事で生命等の危機を感じたりすると、自分のカラダを守るためにリミッターを発動させるなどといった悠長なことは言ってられません。
命がなくなってしまったら自分の肉体を守っても意味がないからです。

そのように自分が追い込まれた状況になれば「リミッターが解除される」状態にカラダがなります。

スポーツにおいても「火事場の馬鹿力」が発揮されるような興奮状態に自分を持っていき、心理的限界を生理的限界に近づければパフォーマンスを上げることができます。

ただ、競技中は自分の周りを火事のような状態にするのは不可能です。
どうにかして「リミッターを解除して興奮状態」になるしかありません。

そこで手っ取り早い方法があります。
それは「大声を出すこと」です。

野球やサッカーなど球技などでは選手間で大きな声を出して呼び合ったり、鼓舞しあったりしているシーンをよくみます。
また、ウエイトリフティングやテニスの選手など力を出す瞬間に声を出したりする選手も見たりします。

無意識にやっていることが多いと思いますが、このように大声を出すことでリミッターを外し、80~90%まで力を出すことができるようになるというわけです。

ただ、声を出せない競技もあります。
マラソンなんかは心肺機能がキツくなってきますから、声を出すのは難しいでしょう。

そんな時は深呼吸をして集中力を高めたり、顔などカラダの一部を叩いて気合い入れのようなものをすることでリミッターを外すことができます。

余談になりますが、マラソンのレースでキツくなってきたら、あえて「キツイ」と大声を出してみるのも手かもしれません。
深呼吸の代わりにもなりますし、大声を出すのでリミッターを外すことができます。
しかし、恥ずかしさと戦う必要は出てきますが。

 

最後に

大声を出して興奮状態を作り出せれば、限りなく実力の100%に近い力を出しやすくなると書きました。

ただ、心理的限界値が上がっただけで、生理的限界が上がったわけではありません。
つまり、火事場の馬鹿力を出せたからといって体力が底上げされたわけではありません。

そのため「火事場の馬鹿力の乱用」には注意しなければなりません。

その瞬間力は出せているが体力も消耗する「諸刃の剣」なのが「火事場の馬鹿力」です。
ここ一番の場面で使うことを覚えておく必要があります。

参考文献

 

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